保険営業は銀行が行う事業承継の提案内容も知っておいてください。

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以前、中小企業オーナーから事業承継に関してこのような相談がありました。
会話形式でまとめてみました。

 


オーナー:うち会社の株価が予想以上に高くて困っています。

齋木:評価が高いのは会社の中身が良いってことですから困ることはないのではないですか?

オーナー:会社が良くなるためににがんばって来たから株価が上がるのは嬉しいのですが、息子に株を渡せないのですよ。

齋木:株価は誰に評価してもらったんですか?

オーナー:長年付き合いのある銀行です。無料でやってくれました。普通は50万円くらいはかかるそうですね。

齋木:そうですね。無料だったんですね。評価してくれただけですか?

オーナー:銀行は株価が高くなってるから息子に会社をつくらせて、そこが株を買い取ればいいって言いました。その資金は貸し出しますと。でも銀行からの借金を返すのにどれだけ苦労するかわからないですよね。何とか対策考えてもらえませんか?

(銀行は自分のところから、お金を借りてほしかったわけですね)

齋木:では一つお聞きしたいんですが、未公開株式を購入する時に息子さんが買い取る場合と、息子さんの会社が買い取る場合では評価額が違うってことご存じですか?

オーナー:いや、知らないです。同じ株なら同じ価格ではないのですか?

齋木:息子さんが株を買う場合は相続税評価額なのですが、息子さんの会社が買う場合は法人税に定める価額になります。

オーナー:大して違わないのではないですか?

齋木:いいえ、かなり違います。


 

そして、この後、実際に株価評価をしてみたところ…。

 


齋木:いま株価は一株12,000円ですが、相続税評価ですと1,200円になります。

オーナー:10分の1ですか?

齋木:はい、どちらも間違いではないのです。評価の方法で株価は大きく変わるからです。


 

こんな話が最近多くなっています。

社長も事業承継を誰に相談してよいかわかりませんから、取引先の銀行に相談せざるを得ない、というのが現状です。そして、銀行のメリットのある(会社にとってはメリットのない)提案を受けてしまうのです・・・。

企業の財務内容が良ければ良い程、自社株式の評価は高くなります。

しかし、自社株は財務内容により評価額が存在しますが、実際は現金化することはできません。この現金化できない資産に対しては、相続税や贈与税が課税されます。

従って、以下のプロセスが非常に重要となります。

  1. 自社株式の評価を行います(オーナーの財産額を確定します)
  2. 後継者に株式を渡す(売却や贈与する)タイミングを考えます
  3. 後継者に株式を渡すタイミングまでに自社株式の評価額を下げる計画をします

この一連のプロセスを理解し、アドバイスできる方は社長にとって貢献できる存在だとは思いませんか?



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著者

齋木 修次

齋木 修次デイライト株式会社代表

生命保険セールス出身、世界中での業界のトッ プとして活躍。その間、相続・事業承継におけ る生命保険の役割の大きさに気づき、コンサル ティングに業種変更した。「相続・事業承継」 「未公開株式の評価と評価減対策」等のセミナ ーを年間60回程度開催中。2018年に経済産業大 臣認定の「経営」革新等支援機関となり、平成 30年度事業承継税制の正しい普及に尽力中。 著書「アッという間にわかる・誰でもすぐわか る事業承継の本」がAmazon会社承継部門のベ ストセラーとなる。